以前の日本の家づくりでは、家をつくることを「普請する」と言い、内装には「設える」という言葉が使われていました。
「普請」とは「普く人々に請う」、つまり大勢の人に頼むこと。
「設える」とは「美しく整える」という意味も持っています。
平安時代の寝殿造は、太い柱が立ち並ぶだけの構造的な間仕切りのない板敷きの大広間形式(大空間)の開放的な空間を日常生活の都合や年中行事の接客に応じて屏風や障子で仕切ったり、畳を置いて都度適切な空間設営を行う。
この室内空間の設営を「しつらい」と呼び、昔の日本の家は、「しつらい」によって長く使える仕組みがありました。
これは、現代に取り入れられたスケルトン&インフィルの考え方に似ています。
家は多くの人の手にによってつくられ、丁寧に整えられていく。
趣の深い言葉です。
「設える」とは一人ひとりの住まい方・価値観に合わせてつくられていくもののことで、既に出来ているものを買うのではなく、自分に合うものを丹念に、丁寧に一緒になって手を練ってつくっていくことを意味しています。
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